山親爺という名前は、昔から北海道の山野を我が物顔で歩いていた熊の愛称です。
昭和5年から発売している山親爺は厳選したバターとミルクを使用した洋風煎餅です。
バターの風味や卵の香りが豊か。
ぱりっとして口溶けがよく、食べ心地のいい、札幌千秋庵のロングセラー商品です。
スキー板を履いた熊が鮭を背負う姿がレリーフになっています。
※山親爺の箱詰めに同梱されていたクマのマスコットは終了となりました。
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※山親爺12枚入(3枚包4個)
中村汀女(昭和を代表する女流俳人)
「まるまるとふとった可愛らしい熊がスキーをはいて鮭背負った姿をレリーフにした煎餅、これは土地を愛し、熊をまた愛する人の手すさびである。
材料の吟味相当、玉子の匂いは郷愁につながる、軽く食べやすい焼きと素朴な味は大事にしていいと思ふ。
山親爺とは熊の異名と知ればなんでもないものの、どうも心憎い名を持って幾百の可愛いい煎餅の熊が歩くことを考へるのはたのしい。」
船山 馨(作家) 山親爺を愛す
「牛乳やバターを主原料とした製品は、どこよりも北海道のものがすぐれている。
私はもともと酒飲みであるし、近年は糖尿病もあって、菓子はほとんど口にしない。
しかし、札幌千秋庵の山親爺という煎餅だけは、常時愛食している。
バターの味が濃密で、いかにも北海道の菓子らしい風味である。
噛んでいると、望郷の想いすら湧く。美味いことは、全国無数の煎餅中の絶品である。
この間も東京へ帰るとき、千歳空港まで見送ってくれた詩人竹吉新一郎さんが、
土産だと言って山親爺の罐を私に握らせた。
竹吉さんも酒飲みだが、これが好物だと言うことであった。
わが意を得たりと、私は心中微笑が湧いたことであった。」
堀口大學 (詩人)
実は僕
まだ知床も知りません
北見も僕まだ見ていない
網走の高い塀
北大のポプラ並木
アイヌ部落の熊まつり
札幌名物雪まつり
どれもまだ見たことがない
山親爺なら煎餅だけ……
凍原社刊
『北の話』(昭和四十八年四月一日号)『わびごとうた』より抜粋